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2019年03月29日

桜の木の下には

今日は3月29日 もうすぐ 4月 桜咲く 季節

昨日28日 福井で桜の開花宣言があった

気象庁の制服を着た ちりちり頭の職員が うれしそうに宣言していた

桜の開花の見極めは 全国にある そめいよしの の桜です

この桜は クローン だそうで 個体差のない均一な コピー です

だから南北に細長い日本の気候の違う各地での基準となる木にはうってつけです

同じ環境の同一条件のもとでは同じように一斉に花を咲かせる

個性の無い花だからか 養老孟司先生は この花はクローンだから嫌いだ

と ネコメンタリーで つぶやいていました

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去年の今頃は 金沢の病院で 抗癌剤と放射線治療を終え

3月23日に退院 その20日後に手術入院し 4月16日に外科手術を行った

去年の今頃は福井の家で外科手術前の待機状態だった

あれから 1年が経ちましたが 去年の桜の記憶は全く無い

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今、仕事で SKULL の スワロフスキー データ を作っている
桜の木の下には




死の淵から戻って 生き延びた この僕が SKULL(ドクロ) のデザインとはね

今日はちょっとゆっくりして 仕事をさぼって ブログでも書くことにする

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「桜の木の下には屍体が埋まっている」これは信じていいことなんだよ。

梶井基次郎のこの言葉には ハッとさせられる

皆が美しいと思って眺め 愛でている桜の花のピンクの色は

桜の木の下の 多くの生きもの達の血を吸い上げて染まったピンクだという

春は全てのものたちが 一斉に蠢き始める残酷な季節でもある

生と死の生臭い戦いの季節の始まりでもある

これから一斉に咲き始める花々は 死の化身 のようにも思える

去年の体験から 僕は 生の内側の死が見えるようになってきた

ぼくにとって 死は 特別なものではなくなった

世阿弥が残した「風姿花伝」

秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず

という言葉があります  どう解釈するかはそれぞれです

日本の伝統の底には 大きな死があるように思えます

死 は 克服しようとするものではなく 感じ取るものだと思います

生 よりも もっと大きく果てしないものが 死 のなかにあるように思えます

べつに 死を美化してるわけではありません

死を見て感じることで もっと 生 が豊かになるように思うからです

生きることの方が むつかしいことだと 最近思えてきました

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以前のブログにも書きましたが、詩人 吉野弘 の 茶の花おぼえがき の一節

「施肥が充分で栄養状態のいい茶の木には、花がほとんど咲きません。」

栄養をたっぷり与えられた植物は 自分が死ぬということを忘れ

花を咲かせないそうです。花は次の世代に命を繫ぐためのものであって

自分が永遠に生き長らえて死を意識しなければ花を咲かせないそうです

死によってこそ生は成就されるということです

茶の木も 優良な茶の品質を確保する為に 接ぎ木や挿し木 によって増やされるようです

完全なクローンでコピーを作り続け、生殖もさせずに一生を終わらせるのですが

最後に朽ち果てる前に死を意識して 一斉に花を咲かせるそうです。

花をさかせないことで 茶の葉に充分な栄養をあたえるという人間が操作した仕組みに

ただ一つ 最後の花を咲かせることで 反抗しているようにも思えます。

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昨日 ドキュメンタリーを見ました

シリアダラヤという街の廃墟の地下に図書館を作っている人達の映像です

アサド政権に対する抗議運動の中でのドキュメンタリーです

この街の戦闘員と民間人は2016年に政府軍によって撤退させられました

その人達は現在トルコやイドリブに逃れています。

撤退前後の人々の生活状況が映し出されていました

桜の木の下には
桜の木の下には
桜の木の下には


桜の木の下には


桜の木の下には


桜の木の下には



この中で ジョージ・オーウェル「1984年」の一節が出てきます

<目覚めるまで反抗しない、反抗して初めて目覚める>

「1984年」という小説は全体主義の監視社会を扱った近未来小説です

そして1984年は Apple がスーパーボウルの伝説のCM『1984』とともにデビューを果たした

Macintoshのコンピューターが発表された年でもあります





この映像は リドリー・スコット によって作られました

では    ま た 


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Posted by hamabeat at 16:58│Comments(0)別れの準備
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